トゥモロー・ワールド Children of Men



―本編について



冷戦が終わり、20世紀終わりから民族紛争が始まる。911も起き、アメリカ一国体制が続いている、21世紀が撮す未来『トゥモロー・ワールド』

テロ、紛争、宗教、子が生まれぬ究極の高齢社会。その地獄の未来で、人の信念が起こす汚れ、死が連なる中で、『産』という奇跡を剥き出した、大傑作映画。


映画に僕は常に、圧倒的な衝撃を求める。感動であれ希望であれ絶望であれ…。先月一人でみた『父親たちの星条旗』は良くできた映画だが、打ち浸れることなく、スクリーンを後にしたのだが、『トゥモロー・ワールド』は、そうではなかった。映画館でみれて本当に良かった。観れて本当に良かった。もう二度とちんけなテレビ画面で観たくないほどのインパクトであった。。

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IMDb では高評価ですが日本では評価が低いようです。何故? 「説明不足」とか「何が言いたいのか分からない」とか、馬鹿じゃないかと思います


セガール気分で逢いましょう 『トゥモロー・ワールド』

この映画が観客に対して切り出すのは、「物語」ではなく「状況」だ。突如、能書きもなく幕が上がれば、そこはひたすら「状況」が横たわっている。


トゥモロー・ワールド 新作映画評論 - 映画のことならeiga.com

人類から未来を奪う突発的事態で、一挙に顕在化したにすぎない。


2007 あなたの【綺麗になりたい・・】を応援します! 今日も明日も映画三昧:「トゥモロー・ワールド」

未来社会の荒廃ぶりを克明に描きだす。それは、私たちが暮らす“今”と何ら変わりない。


How wonderful beautiful world. - 男性一人客の日記

人間を二種類に分けるとすれば、この世界が地獄の糞溜めであることを認識している人間か、このことから目を逸らし続けている人間か、ということに。


超映画批評『トゥモロー・ワールド』90点(100点満点中)

更新が大幅に遅れてしまったが、その間私がずっとこのサイトの読者に伝えたかったのはほかでもない、この映画についてだ。



今、かつての未来、21世紀に生きている。今、ある世界は、聖地では同じ神を信じる者同士が憎みあい、9.11、世界首都で、二つの塔が崩れる。(映画のなかのジュリアンの両親はこの事件で死んだ)。鳥インフルエンザも裏で人の脅威となりつつある。(映画のなかのセオの娘がそれで死ぬ) 。核、貧困、南北問題、少子高齢社会、テロ、水、石油、ETC・・・

これが夢の21世紀。世界大戦が終わり、60年。その間、紛争に巻き込まれなかった国は極微少。日本もその一つ。日本は少子高齢社会が進む。低給料労働者は足りない。外国人労働者は日本にはいられない現実。


日本をいくら賛歌しても、日本は所詮今の汚い列強国の一つに過ぎない。30年後の子供が産まれなくなった世界。人々はその絶望のなか、折り重なる様々な重圧の中で獲る信念同士が争う。恐らく水も石油もきれて。各国、紛争が起こり次々と国会が停止。英国だけは辛うじて機能しているという。

以下、ネタバレ注意






30年後の子供が産まれなくなった世界。人々はその絶望のなか、折り重なる様々な重圧の中で獲る信念同士が争う。恐らく水も石油もきれて。各国、紛争が起こり次々と国会が停止。英国だけは辛うじて機能しているという。

そこに、苦しむ難民は逃げてくる。英国は難民を抑え、保護者は犯罪者になる。テロ組織は、世界のマリアになろう黒人女性『キー』を手に入れ革命を起こそうとする。

(今これを打ちながら、CDは『狂気』からRadioheadの『Amnesiac』に)


主人公・セオは、朝のニュースで人類最後に産まれた青年が、ジョンレノンのように死んだニュースを、コーヒーショップでみる。道路でコーヒーと酒を飲もうとするとき、テロ爆破…

会社は動いていない。退勤した彼は古い、かつてのヒッピーらしい友人の隠れ家に。Radioheadが流れた。その後、テログループに拉致。そこでかつての奥さん・ジュリアンに出会う。彼女は彼に、国外通行書を従兄弟の政治家に頼む。彼はバターシー発電所内部に。

(工場に浮かぶ豚や煙突=ピンク・フロイド『アニマルズ』)

そこで流れていた曲が、なんとキングクリムゾンの『クリムゾンキングの宮殿』らしい。

キー、ジュリアン、セオは、通行書をもち、国境門へ行くが、途中で暴徒に攻撃… ジュリアンは打たれ。

テログループのアジトに匿われるが、テロリストらは妊婦のキーを利用するため、先程の暴動を起こしたという話をセオは聞いてしまう。必死に友人の家に逃げるが、数日たち、テロリストに発覚され見つかる。友人は犠牲に…


友人の忠告に従い、難民収容所に行く。


出産という奇跡、人間という愚かさ、迫りくる終末が現実的に実感する。それは映画の世界だけじゃない。


出産を本当に映像として観た。本当に撮影中出産したんじゃないかというリアル。


どこかの中世マリア画のように、キーは『地獄』のなかを歩く。赤ん坊の泣き声はそれまで、狂気の叫びと捉えていたのに、この映画から響く泣き声は、救済を知らせるような、光の筋のようだった。周りの難民、兵士が感謝し崇める。信仰や思想や民族を越えた、『生』という美しさ。

泣き声という『讃歌』に、泣きそうになった。

だがその前の、例の8分間ノーカットに映される壮絶な紛争地帯。カメラには血がついたまま。地獄のその音楽は、地獄の黙示録のラストシーンのように、キーンと機械音が不気味に鳴り響く。

ラストシーンに示される『希望』。「トゥモロー・ワールド」という安っぽい題名にも意味があった。エンドスクロール始めの曲で、ジョンレノンが叫ぶ。


鬼才、アルフォンソ・キュアロンの偉大なカルト作品となるであろう、『トゥモロー・ワールド』。キュワロン監督作品にとっては微妙な『ハリポタ3』などで彼を評価するなと切実に言いたい。さまざまな作品をみたが、彼は追われ逃げる映画を撮るのが本当に素晴らしいと思う。


この黙示録映画、自分のなかの好きな映画三本指の一つに、間違いなくなった。






―原作について

(内容)1995年に生まれた子供たちはオメガと呼ばれていた。その年を最後に、人類に子どもは生まれていない。それから四半世紀後の2021年、イギリスは国守ザンと4人の評議会員によって統治されていた。わずかでも罪を犯したもの、精神病者は島送り、自殺志願者の老女たちは国の管理のもとで集団自殺さ せ、国民には強制的に精液検査、国営ポルノショップが設けられた。ザンのいとこで元評議会メンバーのセオは、そんな政府のやり方に抵抗する<五匹の魚>の 5人のメンバーに出会い、協力を要請された。

監督による解説:「読んでもいいけど、僕たちがやる映画とは全く関係ないよ」

■本 トゥモロー・ワールド
(原作 人類の子供たち/ハヤカワミステリ文庫・早川書房文庫本/著者:P.D.ジェームズ /訳:青木久恵 と同内容)






―使用曲・サウンドトラックについて

ザ・リバティーンズ、ディープ・パープル、ジョン・レノン、キング・クリムゾンなどの、60年代から現在に至るまで、UKロックをリードするアーティストの楽曲を多数収録。。。未収録ながら、レディオヘッドもエンドスクロール曲に使用。

この映画のサントラは凄すぎる・・・


■CD 「トゥモロー・ワールド」オリジナル・サウンドトラック

11月15日発売(ユニバーサル ミュージック)/解説:村岡裕司 2,548円(税込) 


収録曲

1. HUSH (ハッシュ)/ DEEP PURPLE ☆
2. WITNESS <1 HOPE> (ウィットネス)/ ROOTS MANUVA ☆
3. TOMORROW NEVER KNOWS( トゥモロー・ネヴァー・ノウズ ) / JUNIOR PARKER
4. SLEEPY SHORES(スリーピー・ショアーズ) / MICHAEL PRICE
5. THE COURT OF THE CRIMSON KING edit (クリムゾン・キングの宮殿)/ KING CRIMSON ☆
6. BACKWARD(バックワード) / KODE9 AND THE SPACEAPE
7. WAIT(ウェイト) / THE KILLS
8. THERE IS AN OCEAN (ゼア・イズ・アン・オーシャン)/ DONOVAN LEITCH
9. RUBY TUESDAY(ルビー・チューズデイ) / FRANCO BATTIATO ☆
10. MONEY HONEY (マネー・ハネー)/ PRESSURE FEAT. WARRIOR QUEEN
11. ARBEIT MACHT FREI ( アーベイト・マーチ・フレイ)/ THE LIBERTINES
13. BRING ON THE LUCIE -FREDA PEEPLE-(ブリング・オン・ザ・ルーシー)/ JOHN LENNON ☆
14. INDIAN STOMP (ランニング・ザ・ワールド)/ CYRUS (RANDOM TRIO) ☆
※☆はエンドスクロール曲


サントラ未集録・劇中エンドスクロール使用楽曲

Life in a Glasshouse/ Radiohead (Amnesiacに収録)


■CD キング・クリムゾン/クリムゾン・キングの宮殿


■CD マインド・ゲームス(リミックス&デジタル・リマスタリング)/ジョン・レノン


■CD レディオヘッド/アムニージアック(期間限定1500円)





―DVD特典映像について

外箱はこだわっているくせに、特典メニュー画面はちゃちかった(DVDの中にあるのも、メニュー説明の紙切れ一枚のみ)。だが、内容は特典でさえ、素晴らしかった。

各哲学者たちの、映画の主題から、近い未来の人類の植民地問題、環境問題などからの、文明や人類そのもの、果ては地球滅亡の学術的見解を述べている映像は、シンプルであったが、かなりインパクトはあった。脅しではない未来への不安。見ながらいろいろ考え妄想してしまった。

また、未収録映像のクオリティも高い。特撮のドキュメントも、製作者らの苦労が、そして己の表現のアイデアを妥協せずに、実行してみせた、創造のエネルギーが。。

予告編の特典で、日本TVCM映像もあったが、それはどうしようもない代物だった。国内での不当な評価は、宣伝の失敗によるものだと思う。何故、日本の他のメジャー配給会社はこの映画を蹴ったのか。何故、米アカデミー賞は何も受賞させなかったのか。劇場版も国内版とアメリカ版とでは少し違い、宣伝会社の解釈の違いが明確だった。

素晴らしかった(また、見るのは恐ろしかった)のが、キーの出産シーンのドキュメントで、製作者らのコメントは一切無く、尊厳なオペラ曲を背景に、特殊効果で赤ん坊の映像をつくりだしたのか、品の良い、そして短い時間でつくられていた。









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